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(旧 「防水屋台村」建設中)
第5報 センセーショナルなテーマ  2017日本建築学会大会(中国)

「中性化は寿命か?」でパネルディスカッション 
防水の役割に光が当たる

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2017年9月2日、10時から13時30分まで、広島工業大学デネブホールで、2017日本建築学会大会材料施工部門のパネルディスカッション「鉄筋コンクリート造建築物の限界状態再考」が行われた。 そのテーマは、今大会の中でも、最もセンセーショナルな「中性化は寿命化?」である。 長らく建築界においては、いわば常識として、コンクリートの耐久性を考えるときの指標として用いられてきた「中性化」に「?」がついていたからである。

司会   :湯浅 昇(日本大学)(以下敬称略)。
副司会  :寺西浩司(名城大学)
記録   :西尾悠平(東京理科大学)
趣旨説明:兼松 学(東京理科大学)
まとめ  :橘高義典(首都圏大学東京)


中性化はDSC02250

東京理科大兼松教授による趣旨説明の概要
コンクリートの中性化の研究は、コンクリートが建築構造材料として利用され始めたころの、佐野利器の実験に始まる濱田稔の研究に遡る。1928年の内田祥三と濱田稔の論文では、20年間の暴露試験結果などを踏まえたうえで、鉄筋コンクリートまたは鉄骨コンクリート構造の寿命として中性化が、かぶり厚さまで進行する時期に基づき言及している。その後、岸谷孝一の研究の中で、現在の中性化予測式の原型が提案された。

濱田稔の中性化研究以来、わが国では中性化の進行を鉄筋コンクリート造の限界状態(≒寿命)としてきた。すなわち中性化がかぶり厚さを超えて進行すると、鉄筋の不動態被膜が破壊され鉄筋腐食に至る、というのが一般に認知された劣化機構であり、これを指標として耐久性評価が行われてきた。この考え方は、建築学会だけでなく、耐震診断における経年指標や、品確法など各方面で受け入れられている。

一方、近年では、中性化の進行は環境条件に大きく依存することや、中性化が進行しても水分供給が無ければ腐食が進行しないことが報告されるようになってきている。高経年化して中性化が限界状態を超える建築物が増加する中で、高度成長期にコンクリートの品質向上とセットで議論されてきた設計限界状態としての中性化が、新規材料を用いた場合や既存構造物における限界状態として考えるべきかを再考する時期に来ている。PDでは、鉄筋コンクリートの限界状態について再考すべく、最新の中性化・腐食研究や調査報告を総括し、耐久設計の在り方、建築規・基準との関係なども議論したい。


また兼松氏は主題解説の2番目のテーマ「耐久設計の考え方と中性化進行予測の問題点」の中で、「土木学会では中性化に関する耐久性照査において、中性化残りが10ミリ(通常環境)となる時点を限界状態としている。すなわち建築学会は腐食状態が一定の状態になった時点を限界状態としているのに対し、土木学会は腐食が開始する時点を限界状態として定めている点で異なる」と指摘した。
さらに「2016年版耐久設計指針式では、雨掛かりの影響が取り入れられたが、環境条件の影響に関する検討は十分とは言えない。近年では精力的な調査が行われており、特に、含水率と中性化の関係について多くの研究が行われているため、これらを取り込む期待は大きい」とも述べている。
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耐久性向上のためにコンクリートの内部に水を入れないようにする防水の役割に、極めて分かりやすい光が当たったといえる。



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