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(旧 「防水屋台村」建設中)
狩野春一博士  RN154読み物「防水の博士たち」はこの人
狩野春一氏の博士論文

aashuku 表紙


狩野春一
タイトル:「モルタル及コンクリートの滲透透過、膨張収縮、及引張の諸性質に関する研究」
授与大学:東京工業大学
授与年月日:昭和18年2月15日。工学博士



波多野一郎、小池迪夫、田中享ニと続いた我が国防水研究のメインストリームの源流は、狩野春一氏である。波多野氏は、学位論文の中で防水材JISやJASS8制定・改訂作業における人的交流に触れている。これによって、建築学会や建設省の防水仕様や防水関連JIS制定の初期の様子が解る。 その部分を抜粋紹介する。

JISA6001(1950)「アスハルトフェルト・アスハルトルーフィングおよび砂付きルーフィング」が制定されて品質の向上に寄与した。この規格は吉田享二教授(早稲田大学:注・RN編集長)を委員長とする建築用アスハルト類似品専門委員会が審議を行ったものであるが、規格案作成のための資料の調査を吉田教授より筆者が個人的に依頼され、いくつかの資料を提出した。

昭和28年度に十代田三郎教授(早稲田大学:注・RN編集長)を委員長として、文部省科学試験研究費による「建物防水工法」研究会が組織され、筆者も委員として、アスファルト防水材の耐久性・試験方法などを分担する機会に恵まれた。
さらに前記のJISが昭和28年に制定3年目の見直しの時期となり、狩野春一教授(東京工業大学)を委員長として、JIS改定委員会が組織され、筆者も委員として各種の試験を実施する機会を与えられた。

また、最後に以下各氏に謝辞を述べている。
原田有博士・加藤六美博士(東工大)の懇切なる助言
恩師・狩野春一博士(工学院大学教授、前東京工業大学教授)、十代田三郎博士(国士舘大学教授、前早稲田大学教授)の援助




緒言
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狩野1

緒言で狩野氏は、
「コンクリート構造物の中にはコンクリートの強度以外の特性を、寧ろ第一義的に要求されるものが少なくない。気体または液体の遮断性は正に其一であって、然も極めて重要な問題であると思ふ。
 例へば地下室、及現在緊喫施設として喧唱せられる防空室の、工事上の最難点は実に地下水の滲透にある」と述べている。

狩野2

論文が書かれたのは第二次世界大戦直前の昭和18年、石油備蓄は緊急かつ重要課題である。防空壕を想定したコンクリートの水槽と同時にコンクリート石油槽の性能向上は、より緊急性の高い課題であったはずだ。

狩野3
「石油資源獲得と貯蔵能力とは、実に世界覇国たるの決定条件の一つであると言ふも敢えて過言ではない」と時代を反映した表現も見える。

4狩野
モルタル及びコンクリートの滲透性と透過性に関して、「透過性はその(コンクリート)の貫通空隙の状態によって定まる」が、滲透性については「一見明らかに其空隙量に関係するかの如く思はれる。然るにかかる水和凝固体内の空隙は、其形状、長さ、及孔径等極めて複雑且區々たるものであって、著者の実験に徴するも、滲透の難易は必ずしも算定空隙の多寡にはよらない様であった」と述べている。

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目次

目次1
目次2
第2編第2章は「水の滲透性及透過性」。第19項は「コンクリートの防水法と水密コンクリート」

目次3


参考文献
文献目録

実験装置
実験装置

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