(旧 「防水屋台村」建設中)
2015年度 早稲田大学 輿石直幸研究室の活動
輿石研1年間の活動と修士4論文の発表
助手の山田美土里さんが4.1より近畿大学助教に。


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早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科の輿石直幸教授が2012年から定期的に実施している学生とOBによる勉強会「建築材料及び施工研究会」が3月11日、早稲田大学理工学部55号S館会議室で開催された。
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以下輿石教授による、2015年度研究室活動報告の概要。
2015年度は、専任助手1名、博士課程3名、修士2年4名、修士1年4名、学部卒論生⒒名 の体制で研究を行い、修士論文4編と卒業論文7編が纏まった。
2年連続でAIJ大会「若手優秀発表」を受賞した山田美土里助手が、伝統木舞土壁研究の成果を国際会議・EARTH USA で発表し、民家フォーラムの座談会に登壇した。
土蔵研究では、長野県小谷村の被災建物調査や宮城県石巻市の修復工事調査に赴き、データ収集を行った。
全体イベントとして、本庄市にある、本格的なレンガ造建築として日本初期のものの保存・再生のために内壁漆喰仕上げの劣化調査を総出で行った。
早稲田大学理工学術院主催の小中学生向け実験教室で、伝統土壁塗りの準備・運営のすべてを担当した。

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奥右端が山田さん。4月1日より近畿大学に助教として着任する。



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RN223Y:早稲田大学OBによる「建築材料および施工」連続講演 第2回
早稲田大学OBによる「建築材料および施工」連続講演

第2回講師:中根 淳 氏(元大林組技術研究所勤務)
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早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科の輿石教授は2013年3月より、早稲田大学理工学部55号N館会議室で学生とOBによる勉強会である「建築材料及び施工研究会」を隔月で開催しています。

第1 回は難波蓮太郎氏(2013年5/31)、第2 回は中根淳氏(7/26)、第3 回は十代田知三氏(9/27)、第4 回は石川廣三氏(12/13)、第5回は中山實氏(2014年4月18日),第6回は松本洋一氏(7月4日)、第7回は小早川敏氏(10月20日)が講師となり熱弁をふるい、いずれも予定の講演時間を大幅に延長しての力の入ったものでした。

講師は、それぞれ自らの学生時代からの 研究過程の苦労話や研究者としての様々なノウハウを伝えた。さらに輿石教授は「建築材料の教科書にはあまり載っていない先端的なお話や研究の裏話苦労話をお聞きしている。その後の懇親会は毎回盛り上がり、研究室の卒論生・院生とって大先輩方と交流ができる貴重な機会だ」と連続セミナーに大きな手ごたえを感じています。

各講師は、苦い経験や、研究者・技術者としての喜びを率直に語ります。記者は毎回参加させていただき、予定時間をいつもオーバーする講師の熱演に、後輩たちへの愛情を感じ、うらやましく思っていました。これまで各回の様子はルーフネットで紹介してきましたが、このほど、輿石研究室としての講演記録をいただきましたので、これを機に「ルーフネット・輿石研究室だより」として順次紹介してゆきます。第2回は元大林組技術研究所部長の 中根淳氏です。
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写真左:中根淳氏。右:輿石直幸教授。

第2回 「企業における技術開発と研究活動について」
■講師:中根淳先生
■開催日時:2013年7月26日 18時~21時
■開催場所:早稲田大学西早稲田キャンパス 2階大会議室

講師経歴
1940愛知県生まれ。
1964早稲田大学第一理工学部建築学科卒
1966早稲田大学大学院理工学研究科修了
1966大林組入社  技術研究所にてコンクリートの技術開発と指導に従事 1973 米国カリフォルニア大学バークレー校留学
1997 大林組技術研究所 部長
2000 大林組退職
2001 関東学院大学工学総合研究所 ほか非常勤
   コンクリート関連学協会の多数の委員会活動に参加し、
   共著書も多い。日本コンクリート工学会名誉会員

■講演内容「企業における技術開発と研究活動について」
これからの進路を建築分野へ向けている学生に対し、今後の建設業界に対応するメッセージを伝えたい。大学卒業後50年という時間軸で回顧すると、当時常識として考えていた諸規範は大きく変遷してきたことに気付く。一例を挙げれば、小生の大学生時代の建築は31m以下の高さ制限を受けていたのである。従って各種のシステムは、場所や時間の経過とともに変化していくのである。その潮流を大局的に見通し、変化に対応する能力を身に着けるよう心掛けるとよい。
1. マクロ的視点から見た建設需要と雇用
戦後復興と経済の高度成長期が続いていた長い間、我が国GNPに占める建設投資額は20%近いレベルで推移し、かなりの活況を呈していた。現在は、インフラ整備等の建設需要が一段落して建設総投資額は最盛期の約半分にまで低下し、かつ新規の建設が減って維持保全に重点が移りつつある。一方、建設就業人口をみると、建設投資額が半減しているにも拘らず、それほど減ってはいない。目下、2011年の東北大震災復興事業と五輪新施設の建設のため一時的人手不足現象が生じているが、全産業における建設投資額や就業人口は長期的にみて減少する傾向にある。他方、建築を教える大学の数はこの50年間に飛躍的に増加し、建設需要の景気と無関係に卒業生が社会に供給されている。
2. 建築関連職能と要求される資質
我が国の大学では建築は工学系の学部に扱われることが多いが、建設業界では従事する職種によって要求される資質にかなりの幅がある。例えば、設計業務・現場管理業務・常設管理業務・研究開発業務などに要求される資質は、一口に理科系という分類では括れない。また建設は多数の分野が関わり合って成り立っていて、建築物が複雑になるにつれ更に分化していく傾向にある。設計を例にとってみても、意匠設計、構造設計、環境設計と分化して専門化されてきた。この中で特に大切になってくるのは、関連する諸分野を総合的にまとめ上げていく能力であり、オーケストラの指揮者的役割を指す。この能力は、設計業務・現場管理業務・技術開発業務でも共通して要求される資質といえよう。
建設関連業務の専門化が進んでいるが、分化したすべての業務の専門家になることはできない。人物像としては、まず専門家として行動できる特定の分野をもつこと、そのうえで関連する諸分野をカバーできる浅くても幅広い知識を持つという、所謂T字型人間、V字型人間が望まれる。
3. 技術開発・研究は誰がすべきか?
研究と開発は、目標・期間・費用・成功率などにおいてやや異なったものであるが、研究・開発を民間で行う場合、長期的に人材を育てる余裕が必要であり、その成果は会社に蓄積されるというメリットがあった。かくして我が国では研究・開発の主体が民間企業を中心にして進められ、すぐに利益に直結しなくても長期的に見て成果を出すという経営スタイルが定着し、我が国の主要建設業はそれぞれの技術研究所を持つに到った。しかしながら、昨今のグローバル化の流れ中で終身雇用制度が崩れつつあり、海外株主による研究・開発の投資効率の追求もあって、建設業による研究・開発が転機を迎えようとしている。他方、我が国において民間企業に代り研究・開発を実施できる組織は現段階で未成熟であり、直ちに切り替えられる状況にはない。
4. 米国と日本のシステムの相違
我が国建設業界のシステムは、建設会社における研究・開発活動だけでなく、設計施工一貫方式、設計部や設備部をもつ建設会社組織、契約慣行、下請け制度など世界でも独特の制度に支えられてきた。この他、終身雇用、年功賃金制度、紛争処理の方法、家族関係など社会一般の慣習も我が国独特の方式が踏襲されてきた。一方、米国の建設業界は、業務毎に分離独立した企業形態をとり、設計施工一貫の方式は馴染んでいない。設計と施工の間のトラブルは、すぐに係争案件として法廷に持ち込まれ、解決に時間がかかり、法廷闘争のための契約の精査、裏付けデータの確認などに翻弄されている。我が国の諸制度が決して米国の制度に劣っているとは思わないが、地球規模での経済活動が拡大していく中で、グローバルスタンダードが標榜され、米国式のシステムに引き寄せられている我が国の現状を懸念している。特に海外で建設活動を行うに際しては、周到な準備をして取り組まなければならない。
5. 建築材料と学問的体系
建築材料には種々なものがあるが、構造材料として量的にも最も多用されているのはコンクリートであり、研究発表題数も最多で学問としての体系化も進んでいる。しかしこのコンクリート技術を日本で学ぼうとすると、建築学科、土木工学科、材料工学科にまたがっており、大学のカリキュラムの再編成を考慮すべき時期がきている。早稲田大学は、これまで木材や各種仕上げ材の研究を取り上げてきた数少ない大学である。然しながら仕上げ材料全体の体系化は未達成であり、是非挑戦してもらいたい。性能設計の考え方の導入が有効かも知れない。仕上げ材料の専門家は数が少ないので珍重される反面、建築材料学の主流になりきれないという悩みもある。
6. 結び
今まで述べたように建設業界はシステムが不安定な時期を迎えている。各種のシステムは常に変化し続けていく。したがってこれからこの業界で生きていくためには常に全体の体系を見て、自発的かつ柔軟に行動することが大切である。

質疑
輿石:質問というよりも感想になるが、資料①.3,「マクロ的視点から見た建設需要」のような施工関連の話は材料と関連づけるのが難しく、なかなか教えられないのが現状であって、貴重な話が聞けた。

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(RN219Y )早稲田大学OBによる「建築材料および施工」連続講演  
早稲田大学OBによる「建築材料および施工」連続講演 
 
第1回講師:難波蓮太郎工学院大学名誉教授
 


早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科の輿石教授は2013年3月より、早稲田大学理工学部55号N館会議室で学生とOBによる勉強会である「建築材料及び施工研究会」を隔月で開催しています。

輿石研


第1 回は難波蓮太郎氏(2013年5/31)、第2 回は中根淳氏(7/26)、第3 回は十代田知三氏(9/27)、第4 回は石川廣三氏(12/13)、第5回は中山實氏(2014年4月18日),第6回は松本洋一氏((7月4日)、第7回は小早川敏氏(10月20日)が講師となり熱弁をふるい、いずれも予定の講演時間を大幅に延長しての力の入ったものでした。

講師は、それぞれ自らの学生時代からの 研究過程の苦労話や研究者としての様々なノウハウを伝えた。さらに輿石教授は「建築材料の教科書にはあまり載っていない先端的なお話や研究の裏話苦労話をお聞きしている。その後の懇親会は毎回盛り上がり、研究室の卒論生・院生とって大先輩方と交流ができる貴重な機会だ」と連続セミナーに大きな手ごたえを感じ ています。

各講師は、苦い経験や、研究者・技術者としての喜びを率直に語ります。記者は毎回参加させていただき、予定時間をいつもオーバーする講師の熱演に、後輩たちへの愛情を感じ、うらやましく思っていました。これまで各回の様子はルーフネットで紹介してきましたが、このほど、輿石研究室としての講演記録をいただきましたので、これを機に「ルーフネット・輿石研究室だより」として順次紹介してゆきます。第1回は工学院大学名誉教授・日本漆喰協会顧問の難波連太郎氏です。

第1回 漆喰の効用

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難波連太郎氏(左)と十代田知三氏(右)


■講師:難波蓮太郎工学院大学名誉教授」
■開催日時:2013年5月31日 18時~19時半
■開催場所:早稲田大学西早稲田キャンパス 2階大会議室
■講師紹介
 工学院大学名誉教授、日本漆喰協会顧問
1933 東京生まれ
1956 早稲田大学第一理工学部 建築学科卒業
1958 早稲田大学大学院工学研究科建設工学専攻建設工学修士課程修了 1958 工学院大学助手就任、専任講師、助教授、教授、を経て2000年に大学名誉教授
1997~2006 滋賀県立大学環境科学部非常勤講師


■講演内容
1. 今までの経歴
 学部卒業後、大成建設の面接を受けるが就職できず、十代田先生・田村先生のもとで修士を過ごす。卒業後、十代田先生から、工学院大学の下元連研究室助手になるよう勧められ、勤め始める。タイル張りの圧着工法に用いるポリマーセメントの研究を発端に、そのまま塗り物の研究を続けているが、途中から漆喰に興味を持ちはじめる。自分から道を決めるというより、周りの方々から与えられた役目や仕事をこなしてここまで来ている。人生はそういった風に決まっていくことが多い。
2. 漆喰の効用
鈴木光さんと一緒に漆喰の研究などを行う。鈴木光さんは難波先生の教え子にあたる。
漆喰は、生石灰を水で消化した消石灰をバインダーとしており、強アルカリで抗菌作用が高い。アルカリであり続けるためには、炭酸化してはいけない(炭酸化すると中性化していき、アルカリ性ではなくなる)。また、高い湿度の環境下で炭酸化が進む。6畳間に漆喰を塗るとして、50%程度炭酸化すると仮定すると、6畳間77500室で東京ドーム1杯分のCO2を吸収する。今後も積極的に漆喰を用いるべき。
 室内の湿度変化を、ビニールクロス貼りと漆喰塗りとで比較すると、漆喰塗りの場合に、室内の絶対湿度が下がり、湿度変化の波も少なくなっている。漆喰の空隙は40%以上であり、微細な気孔も多く、これが調湿性を実現している。
3. 海外の消石灰利用
 南フランス、アヴィニョン近郊(ローマ水道橋)
内部導水路に石灰クリームが塗られており、殺菌の目的だったのではないか。
 中国(大連)・メキシコ・チベット、ギリシャ(ミコノス島)・ベルギー(ブリュッセル)  
世界各国で防虫・抗菌の効果を期待して、街路樹の樹幹に石灰クリームを塗っている。ベルギー(ブリュッセル)、スウェーデン(ストックフォルム)、ギリシャ(ミコノス島)、イスラエル(ハイファ)では、建築内外で石灰クリームがつかわれている。ギリシャ、スペイン(バルセロナ)、イタリア(ヴェネチア)などで炭酸化の具合を観察してきた。
4. 長崎の軍艦島見学
 長崎の軍艦島に、2011年に漆喰協会で見学を行った。各所にフェノールフタレインを掛けて、呈色具合を確認。石垣護岸には、天川漆喰(水硬性漆喰)が石の接着に使われている。
5. 太陽軒(埼玉県川越市 1929年竣工)の改築工事
2003年3月、耐震補強と内外装の改築を依頼され、当時開発した既調合漆喰(ピンク色)を用いた。また、耐震補強法では、新築で用いるホールダウン金物は使えないので、フクビ化学工業(㈱)と開発したARS工法(Anchor Rope Reinforcement System:アラミド繊維を用いて基礎と柱の固定する工法)で行った。特徴として、既存木造住宅でも使用できる。
6. 各地の伝統的左官仕上げ
 左官材料・工法の特徴、建築と左官の変遷、日本壁の定義と特徴、各地域の建築紹介
 北海道(豊平館、旧日本郵船小樽支店、旧後藤商店)
 東北―岩手(千葉家・小野寺家・佐藤家・加瀬谷家住宅土蔵)、山形(銀山温泉旅館、長源寺)
 北陸―富山(鏝絵各種、本磨き海鼠)、石川(石川門、能登の釉薬レンガ外壁)、長野(旧開智学校1)、海鼠壁各種)
 関東―埼玉(太陽軒、遠山記念館2))
 東海―静岡(伊豆長八美術館3)、旧岩科学校)、三重(赤福本店「竈(伊勢磨き)」)、愛知(名古屋「信長塀」4))
 近畿―京都(角屋)、兵庫(姫路城)、岡山(倉敷の土蔵の海鼠)、島根(石州左官-鏝絵)
 四国―高知(久保田騎志夫邸、吉良川町「石積み」)、徳島(卯建の意味5)、貞光町の二層卯建など)、愛媛(内子町)
 九州・沖縄―大分(安心院町の鏝絵)、長崎(眼鏡橋(天川漆喰を使用)、軍艦島)、沖縄(琉球石灰)
挿話
1) 擬石の技術が多く使われている。海外に行った際、スペインやハンガリーで、擬石風の仕上げが多く使われているのを観察した。
2) 遠山記念館には、室岡惚七(設計)、中村清次郎(大工)、馬路喜三郎(左官)が関わった。
3) 鏝絵名人列伝―入江長八を筆頭に、吉田亀五郎(別名 沓亀)、伊藤菊三郎、池戸庄次郎、大久保雅一を紹介。
4) 日本の三大塀(名古屋市「信長塀」、兵庫県西宮神社「大練塀」、蓮華王院「太閤塀」)
5) 「卯建は延焼防止のためにつけられたもので、立派な卯建を設けることは主人の評価につながっている」
7. 質疑
 質疑では、東大の行った軍艦島に関する調査、漆喰の音響効果、小舞壁の工法(縦壁工法)、などがテーマとして挙がった。
漆喰は、音を乱反射していい音が出る。石膏は硬くて、平面的すぎる。思い返してみると、実は卒論で、漆喰の音響効果を検討していた。今、もう一度漆喰音響効果について見直している。
                                (記録・輿石研究室 博士後期課程3年 中村)




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